2010年05月28日の勉強会レビュー
2010年 06月 01日
5月28日 18:15~19:55
▼テーマ
ベーシック・インカムは格差是正につながるか?
▼参考文献
山森亮『ベーシック・インカム入門』(光文社新書)
トニー・フィッツパトリックほか『自由と保障-ベーシック・インカム論争』(勁草書房)
宮本太郎『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書)
▼参加者
阿部、金森、佐野、鈴木嗣、鈴木陽、田中、中橋、二瓶、浜野、福田、寶保、八坂、山根木、若杉、和田
▼まとめ
【1】担当者
二瓶
・担当者はレジュメ持参。
【2】議論の流れ
浜野:最低限度の生活を保障するためなら現物支給(食べ物や住む所とか)の方がわかりやすくていいのではないか。
二瓶:ベーシックインカムの考え方からすれば、何に使ってもいい。最低限生活できるお金を支給するが、それをどう使うかは個人の自由、ということ。
金森:それでは、最低限の生活の保障にはならない。やはり、お米券などの現物で支給したほうがいい。
阿部:個人の生活スタイルは多様で、それら一つ一つに政府はカバーしきれない。だから、お金を支給するにとどめて区切りをつけたと思う。
金森:全員にあげる理由は?
二瓶:所得制限を設けない事で行政のコストを削減する。調査せず、配るだけにしたい。
浜野:助けなくてもいい人まで助けることになる。であれば一律支給はいい考え方ではない。困っている人を救済するのなら生活保護の方がいい。
二瓶:ベーシックインカムは、生きている人全てを守りたいという制度。
阿部:生存権を守るということが目的。労働したから所得を得るのではなく、生きているから(お金を)あげるということ。
中橋:ベーシックインカムを導入すれば、働く人が減ることによって、法人税や所得税は減る。財源はどうするのか。
二瓶:それについては消費税増税や税制の抜本的見直しなどで対応する。
福田:既存の各種保障をベーシックインカム導入に伴って廃止することでそれに使ってきた財源は浮く。一方で、労働人口の減少が起きれば税収減により全体の財源は減る。その中でどのようにしてベーシックインカムの財源を確保していくかが問題。
中橋:ベーシックインカムを導入することで赤字国債を出すような事態になってはかえって問題。
佐野:全員無条件、となると日本に出稼ぎに来ている外国人労働者も対象になるのか。"全員"にどのようにボーダーを付けるのか。
二瓶:日本国籍取得を条件にしてはどうか。
阿部:それだと、在日朝鮮人など長い間日本に滞在しながらも国籍を取得できていない人々や、他国籍の長期滞在者が問題になる。
田中:現行の各種保障制度の対象者でいいのではないか。現行の保障制度の対象外の人々からは(対象範囲について)特段不満はないから、それがベーシックインカムになっても状況は変わらないのではないか。
寶保:貧困層は生活に使うだろうが、高所得者層は貯蓄に使う。それでは景気が悪くなる。一律は問題。
中橋:働いてない人にお金を支給するのであれば、大多数の有権者に受け入れられず、政策として成立しないかもしれない。しかし、一律に配るというのであれば有権者も理解を示すから(一律支給は)いいのではないか。
鈴木(嗣):「労働=所得」という考えはどうすれば変えられるのか。
浜野:介護の仕事やボランティアなど、生活できる所得が期待できないものには、ベーシックインカムしかない。
二瓶:自分の生きたいように生きれるようにするのがベーシックインカムの利点。どのようなライフスタイルを送っても最低限生きられる。
福田:労働は自分のやりたいことを実現するための手段である、ということ。
浜野:現行の生活保護の制度改善でいい気もする。
福田:生活保護制度の改善よりもベーシックインカム導入の方がいいとする理由は?
田中:現行の社会保障制度の廃止により社会保障費の削減につながるから、国債の面では(ベーシックインカムは)いいのではないか。
山根木:財源の捻出について、既存の支出をどこまで削るか。医療費など、廃止されると困る保障もある。
福田:ベーシックインカムの導入によって、所得税、法人税の税収は不安定になるので、財源確保の可能性は未知数。その一方で、個人が働きたいところで働くことができるのだから、より生産性が上がり、技術革新も期待できるという点で、経済成長が見込め、税収増も期待できるという見方もできる。
阿部:財源として、所得税の増税をあげているが、所得の大きい人はたくさん税を取られておいて、支給の面では小さい人と同じというようでは、不公平感が生まれるのではないか。
田中:「労働=寄付」という考え方に転換できればいい。
八坂:お金をもらっても、財源のために消費税が上げられれば物が買えなくなる。そのために支給額を上げれば連動して消費税も上げなくてはならなくなり、キリがなくなる。これで政策として成立するのか。
和田:ベーシックインカムを導入するにあたる部分をもう少し詰めていった方が良かったと思うが、いい発表だった。
寶保:いい思考訓練になった。
金森:これからもいろいろ教えていただきたい。
中橋:ベーシックインカムの考え方を知らなかったので、今日は有意義だった。
浜野:資料が大変良かった。
鈴木(嗣):ベーシックインカムと生活保護の違いについて分かって勉強になった。
山根木:楽しかったので、また機会があれば参加したい。
若杉:政治哲学では、勤労意欲というものは、家庭環境など、運によるものも大きい、という議論もある。
佐野:経済的な面で、割り切ることは割り切るという決断の仕方というものが勉強になった。
八坂:次回はもう少し発言したい。
阿部:予備知識が必要かと思ったが、自分の生活に密着しているので考えやすかった。これからも参加したい。
田中:"国民"の境界という議論もある。ここで学んだことを、他でも活かしていきたい。
二瓶:次はもっと練りに練ったものを用意したい。
福田:勉強会に参加された皆さん、お疲れさまでした。
▼テーマ
ベーシック・インカムは格差是正につながるか?
▼参考文献
山森亮『ベーシック・インカム入門』(光文社新書)
トニー・フィッツパトリックほか『自由と保障-ベーシック・インカム論争』(勁草書房)
宮本太郎『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書)
▼参加者
阿部、金森、佐野、鈴木嗣、鈴木陽、田中、中橋、二瓶、浜野、福田、寶保、八坂、山根木、若杉、和田
▼まとめ
【1】担当者
二瓶
・担当者はレジュメ持参。
【2】議論の流れ
浜野:最低限度の生活を保障するためなら現物支給(食べ物や住む所とか)の方がわかりやすくていいのではないか。
二瓶:ベーシックインカムの考え方からすれば、何に使ってもいい。最低限生活できるお金を支給するが、それをどう使うかは個人の自由、ということ。
金森:それでは、最低限の生活の保障にはならない。やはり、お米券などの現物で支給したほうがいい。
阿部:個人の生活スタイルは多様で、それら一つ一つに政府はカバーしきれない。だから、お金を支給するにとどめて区切りをつけたと思う。
金森:全員にあげる理由は?
二瓶:所得制限を設けない事で行政のコストを削減する。調査せず、配るだけにしたい。
浜野:助けなくてもいい人まで助けることになる。であれば一律支給はいい考え方ではない。困っている人を救済するのなら生活保護の方がいい。
二瓶:ベーシックインカムは、生きている人全てを守りたいという制度。
阿部:生存権を守るということが目的。労働したから所得を得るのではなく、生きているから(お金を)あげるということ。
中橋:ベーシックインカムを導入すれば、働く人が減ることによって、法人税や所得税は減る。財源はどうするのか。
二瓶:それについては消費税増税や税制の抜本的見直しなどで対応する。
福田:既存の各種保障をベーシックインカム導入に伴って廃止することでそれに使ってきた財源は浮く。一方で、労働人口の減少が起きれば税収減により全体の財源は減る。その中でどのようにしてベーシックインカムの財源を確保していくかが問題。
中橋:ベーシックインカムを導入することで赤字国債を出すような事態になってはかえって問題。
佐野:全員無条件、となると日本に出稼ぎに来ている外国人労働者も対象になるのか。"全員"にどのようにボーダーを付けるのか。
二瓶:日本国籍取得を条件にしてはどうか。
阿部:それだと、在日朝鮮人など長い間日本に滞在しながらも国籍を取得できていない人々や、他国籍の長期滞在者が問題になる。
田中:現行の各種保障制度の対象者でいいのではないか。現行の保障制度の対象外の人々からは(対象範囲について)特段不満はないから、それがベーシックインカムになっても状況は変わらないのではないか。
寶保:貧困層は生活に使うだろうが、高所得者層は貯蓄に使う。それでは景気が悪くなる。一律は問題。
中橋:働いてない人にお金を支給するのであれば、大多数の有権者に受け入れられず、政策として成立しないかもしれない。しかし、一律に配るというのであれば有権者も理解を示すから(一律支給は)いいのではないか。
鈴木(嗣):「労働=所得」という考えはどうすれば変えられるのか。
浜野:介護の仕事やボランティアなど、生活できる所得が期待できないものには、ベーシックインカムしかない。
二瓶:自分の生きたいように生きれるようにするのがベーシックインカムの利点。どのようなライフスタイルを送っても最低限生きられる。
福田:労働は自分のやりたいことを実現するための手段である、ということ。
浜野:現行の生活保護の制度改善でいい気もする。
福田:生活保護制度の改善よりもベーシックインカム導入の方がいいとする理由は?
田中:現行の社会保障制度の廃止により社会保障費の削減につながるから、国債の面では(ベーシックインカムは)いいのではないか。
山根木:財源の捻出について、既存の支出をどこまで削るか。医療費など、廃止されると困る保障もある。
福田:ベーシックインカムの導入によって、所得税、法人税の税収は不安定になるので、財源確保の可能性は未知数。その一方で、個人が働きたいところで働くことができるのだから、より生産性が上がり、技術革新も期待できるという点で、経済成長が見込め、税収増も期待できるという見方もできる。
阿部:財源として、所得税の増税をあげているが、所得の大きい人はたくさん税を取られておいて、支給の面では小さい人と同じというようでは、不公平感が生まれるのではないか。
田中:「労働=寄付」という考え方に転換できればいい。
八坂:お金をもらっても、財源のために消費税が上げられれば物が買えなくなる。そのために支給額を上げれば連動して消費税も上げなくてはならなくなり、キリがなくなる。これで政策として成立するのか。
和田:ベーシックインカムを導入するにあたる部分をもう少し詰めていった方が良かったと思うが、いい発表だった。
寶保:いい思考訓練になった。
金森:これからもいろいろ教えていただきたい。
中橋:ベーシックインカムの考え方を知らなかったので、今日は有意義だった。
浜野:資料が大変良かった。
鈴木(嗣):ベーシックインカムと生活保護の違いについて分かって勉強になった。
山根木:楽しかったので、また機会があれば参加したい。
若杉:政治哲学では、勤労意欲というものは、家庭環境など、運によるものも大きい、という議論もある。
佐野:経済的な面で、割り切ることは割り切るという決断の仕方というものが勉強になった。
八坂:次回はもう少し発言したい。
阿部:予備知識が必要かと思ったが、自分の生活に密着しているので考えやすかった。これからも参加したい。
田中:"国民"の境界という議論もある。ここで学んだことを、他でも活かしていきたい。
二瓶:次はもっと練りに練ったものを用意したい。
福田:勉強会に参加された皆さん、お疲れさまでした。
by senshu-scop
| 2010-06-01 03:01
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