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by senshu-scop

2010年11月26日の勉強会レビュー

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11月26日 18:30~20:15

▼テーマ
尖閣問題

▼参考文献
なし

▼参加者(敬称略)
江尻、小山、佐藤、鈴木(祥)、鈴木(悠)、津田、中橋、二瓶、福田、水溜、矢部、山根木、和田

▼まとめ
【1】担当者
山根木
・担当者はレジュメ持参。


【2】議論の流れ

矢部:中国は今回の尖閣諸島の問題だけではなく、他の国とも領有権の問題を抱えている。

津田:結局、中国はこれまで「自分の領土である」と主張し続ければ自分の領土になると思っていて、実際それが成功しているから今回もそれをやり始めている。

津田:中国人船長を釈放したことについて、これは実効支配を不安定にした。そもそも尖閣諸島で逮捕した人間は日本の法律で裁くべきである。しかし、何の理由もなしに船長を釈放したということは日本が司法権を放棄したことになる。そういう意味でも日本は中国に付け入る隙を与えた。

津田:あの時の検察の説明は「日中関係を刺激しないように」ということで、つまり高度な政治判断ということで、司法的な判断ではなかった。

津田:漁船の衝突事件は、たとえば警察を殴るようなものだ。つまり公務執行妨害である。もし日本人がそういうことをやって司法的に許されるだろうか。そして、今回の映像流出で検察の説明がつかえないということがわかってきている。結局、日本は司法権を放棄したということになるのではないか。

小山:また検察が事件の説明のときに「これは検察の判断である」言い通せばいいのに、「日中関係を考えて判断した」と言ってしまった。また政府として一貫して政治的な問題にしないという態度を通さなければいけないのに、検察の説明にしろ、映像の流出にしろ、そこが曖昧だった。いよいよ、日本政府の立場がない。

津田:実際、検察の説明は仙石官房長官から指示をそのまま読んだ可能性が高い。これは政府と現場の意思疎通ができていないということである。そのために政治的な問題になってしまった。

山根木:当時、仙石官房長官と検察が会談していたというニュースもあった。

福田:結局、日本政府は尖閣諸島に領有権を主張する看板をつけただけだ。そして、一貫しているのは中国を刺激したくないということだ。

津田:結局、日本政府は日本人が自由に尖閣諸島に行けるようにすればいい。そうしたときに中国が何か言ってくるようなら、それは今の韓国と北朝鮮の問題と同じようなものになる。

福田:尖閣諸島以外で、中国が実効支配にでた例はあるのか。

山根木:南沙諸島がいい例である。中国は南沙諸島に大規模な船団(軍艦)を送り、そこの漁船を追い払って、中国の漁船に漁をさせる。そうしたことを続け、既成事実にすることによって、そこの領海権を得るということをしている。

鈴木(祥):田中角栄が日中国交正常化するときに、公明党の竹入が中国に地ならしに行った。そのとき竹入が周恩来に尖閣諸島について聞いたとき、周恩来は「尖閣諸島は日本領でいい」と言ったそうだ。この話について、この間の予算委員会で公明党の議員が政府に質問した。

福田:中国はそのことについてどう言っているのか。

鈴木(祥):無かったことにしている。だから日本は領有権を主張しようと思えばいくらでもいえるのではないか。根拠はある。

津田:ただ国際司法裁判所に出すときは法的な資料でないといけない。会話があったということだけでは無理だ。そうすると実効支配が明確な証拠になりうる。それをしないかぎりは司法裁判所も明確な答えを出せない。

福田:北方領土の問題も結局そういうことではないか。

山根木:少し前まで2島返還ということであったが、いまはそれさえ無くなっている。

津田:逆にその場合、日本政府は領土問題があると主張し続けなければいけない。そして、その問題を司法裁判所で話し合うだけのことだ。だからロシアがいうように一切変換しないという話にはならないはずだが、日本の弱腰外交では受け入れるしかない。

鈴木(祥):日本の外交は強くでることができないのか。

津田:北方領土の問題に関しては、日本の漁船がでていくときに、漁船を保護すればいいだけだ。

福田:尖閣諸島の問題も、日本の漁船を保護するという形で、実効支配することはできないか。

津田:できる。しかし、日本は中国と戦争したくないからそのようなことはしない。

山根木:戦争という問題なのか。

津田:限定的な戦争はありうる。

鈴木(祥):民主党の誰かが尖閣諸島に「自衛隊を送れ」と言ったそうだが、そうすると戦争になってしまう。

山根木:尖閣諸島に自衛隊を送ってしまうと政府として領土問題を認めてしまうことになる。政府として領土問題は無いという前提で動いている。だから尖閣諸島には自衛隊ではなく、海上保安庁つまり警察がいる。

福田:なぜ自衛隊を置くと領土問題になるのかが理解できない。

津田:私もそう思う。逆に自衛隊を置かないということが領土問題にしている。だから自衛隊を置けばいい。韓国も竹島でやっているように。

山根木:政府は尖閣諸島に領土問題が無いという前提で動かなければならない。しかし、自衛隊は外部との抗争を治めるためにあるものなので、自衛隊を置いてしまうと領土問題があることを認めてしまうことになる。

津田:しかし、自衛隊を置くというのは国防である。戦争するためにやるわけではない。だからそれは違う論点である。

津田:そもそも日本政府は話し合いで解決できると思っている。さらに外務省では省内部で処理するために穏便に済まそうとしている。それではあまい。そもそも外交は打打発止で行うものだ。つまり戦争の可能性をちらつかせながらするものだ。

鈴木(祥):官僚は自分たちの仕事が長く続くことだけを考えている。

小山:日本はもっと世界を意識しないといけない。すなわち日本政府は尖閣諸島の問題でもっと外国を意識しないといけない。そうしないと外国からいいかげんな国だと思われてしまう。日本は外交でプリンシプルを明確にしないといけない。

津田:プリンシプルを明確にすることはある程度の犠牲が伴う。しかし、それは外交において仕方のないことだ。

福田:日本は、こうした問題に対処するために、どういった国と協力していくべきか。

津田:本来はアメリカと協力するべきだ。アメリカは日本が実効支配の意思があれば、支援するという立場だ。しかし、日本の立場が曖昧なこと、それに普天間基地の問題が重なってうまくいっていない。とにかく日本の立場を明確にすることが必要だ。

山根木:日本全体で中国を刺激しないという空気はないか。

江尻:漠然と中国は怖いという感覚があるのではないか。

津田:日本は中国に申し訳ないという感覚があるのかもしれない。それは日中戦争によるものだ。しかし、戦後60年たっている。さらに日本は中国にODAでずっと支援してきた。今の中国があるのは日本のおかげだといってもいい。

山根木:結局、日本の立場を明確にすることが必要。どうやって変えていけばいいのかを考えないといけない。

二瓶:勉強会に参加された皆様、お疲れ様でした。

(敬称略)
by senshu-scop | 2010-12-26 23:28 | 勉強会報告