2月20日 15:00~18:00
▼概要
日本の政治システムについて
▼使用文献
「飯尾潤『日本の統治構造』 」
▼参加者
乙幡、鈴木嗣、鈴木陽、二瓶、福田、和田
▼まとめ
【1】担当者
1章→鈴木陽
2章→二瓶
3章、4章→中橋
5章→鈴木嗣
6章→和田
7章→福田
・担当者はレジュメ持参。中橋は別途レジュメ提出した。
【2】議論の流れ
乙幡:日本政治の議院内閣制の運用について、憲法上の原則からの逸脱や民主政として奇妙な場面はあるのか。
テーマ1:官僚内閣制について
鈴木陽:鳩山内閣になって、政務三役会議が増え、官僚が意思決定に入れなくなったのはよくないと思う。
二瓶:政治家がいくら勉強しても、専門家としての官僚にはかなわない。政治家は官僚の言いなりになるべきではないが、専門知識を吸収する時間がない以上、官僚を抜きにして難しい問題にあたっていくのは難しいのではないか。政治家は官僚をうまくコントロールしていくのがいいのでは。
乙幡:政治家とは、国民の代弁者。国民に選ばれた存在。
福田:そして官僚は国民に選ばれた存在ではない。これは宮内庁長官の「30日ルール」についての会見についての小沢氏の発言の時にそういう話になった。
鈴木陽:官僚が意思決定に関わる余地がないのが「脱・官僚」の問題。
二瓶:官僚は国民・団体の利益を代弁しているから、官僚の意見も意思決定に反映すればいいという話?
乙幡:それはこれまでの話。以後は官僚が出てくる幕はない。官僚は責任を持つ主体ではない。「30日ルール」で問題になったのは宮内庁長官が、自分が政治的主体で、その発言が政治的発言になるという自覚がなかったこと。現にあの発言で中国外交に対して悪影響を及ぼしただけではなく、自民党に民主党攻撃の材料を与えた。責任を持つ主体は政治家であるべき。官僚は自分が日本国政府という組織の一員としての自覚がない。政治家は、国家権力の統制のためにいる。
福田:あの発言は政治家の発言に対して自発的に従わなくてはならない、という政官関係を理解していない。
乙幡:理解していないし、責任を感じてはいけない。官僚には責任を撮るための機構が備わっていない。だから、責任が伴うことをする主体ではないし、主体であってはいけない。そのように発展してきている。
福田:自民党時代はしっかりとした統制をしてこなかったために、官僚に好き勝手やられた。民主党では、少なくとも表面上では、統制をおこなおうとしている。
乙幡:少しくらい意思決定に時間がかかったからといって、マスコミは騒ぎすぎ。もう少し長い目で見てもいいのではないか。官僚の説明能力が衰えるというが、事業仕分けによって官僚は説明能力を磨かざるを得ない。国民は政治家と官僚は立場が違うということを分かり始めた。すべてはこれから。
・選挙制度について
鈴木嗣:小選挙区で落選した人が比例代表で復活することが多い。比例代表はやめたほうがいい。
和田:アメリカは一般の人でも共和党員、民主党員になっていて、帰属意識が強い。日本で政党政治を浸透させているためには、国民が政党の党員になって帰属意識を高めるのがいい。
乙幡:アメリカでの「党員」の概念は日本のそれとは違う。証がある人の他に、継続的支持者も含まれる。
福田:日本でも地盤という言葉に表されるように継続的支持者はいる。その意味で、「党員」は少なくはない。
和田:日本での二大政党は違いが分からない。
乙幡:あまり変わらないから二大政党制が可能な側面もある。
福田:では、何をして政権政党を選ぶのか。時代によって変化するニーズをうまく捉えた方が政権政党となる。その意味で、自分の持つ不満を満たすために、一つの政党を継続的に支持しない人が現れる。それを無党派層というのではないか。その一方で、要求に応える如何に関わらず、支持し続ける人もいる。
乙幡:無党派層には、どこの政党も支持していない、という人も、まだ決めかねているという人も含まれるのでは。
福田:主体性という意味では、支持政党に帰属したほうが、支持政党が政権を持ち、失敗した時の「選んだ責任」も感じるのではないか。
鈴木嗣:国民の政治に対する責任というのは、投票した時点で果たされている。
和田:比例での復活当選は民意ではない。
福田:その一方で、地方で支持されにくいが、政治家として登用したい人間がいた場合に比例が使える。その意味で、復活当選のみ禁止にして比例代表制はそのままでいいと思う。
福田:比例と小選挙区で支持する人の所属政党が違う場合、意思表示としては矛盾している気がする。
乙幡:投票行動を分析するのは難しい。小選挙区制は地域代表。比例代表は国民代表。
勉強会に参加された皆さん、お疲れさまでした。
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