以下は合宿二日目(3月12日)の内容である。
午前中はM谷さんによる講演会?というより発表?・・・呼称は定まっていないが・・・から始まった。
テーマ・「日本経済復興への提言」
以下序論部分を引用させていただきたく思います。
「昨年2008年は米国でサブプライムローン問題が顕在化した一年だった。リーマンブラザーズ破たん、AIGが公的資金で救済され、住宅抵当を担うファニーメイ、フレディマックが政府管理下に置かれ、金融市場は信用収縮(credit crunch)に陥った。その後信用冷え込みは実体経済に波及し、ビッグ3の救済、景気対策などの論点を引きずる中08年第四半期GDP成長率は年率で6.2%減少した。一方わが国では年率で12・7%の減少が記録されている。実体経済面で、日本が米国以上に痛手を被った背景には、日本の外需依存型の産業構造がある。GDP寄与率で見れば、日本の外需産業は約20%を占める程度だという楽観論もこれまで眼強かった。しかし、今回の統計をみれば、外需向けの大企業の下請け・系列企業が内需産業の主であるため、実質的には日本は外需依存型経済であることが明示されたといえよう。現在、与党では管義偉議員(自民党)などを中心に政府紙幣活用論が熱を帯び、また、アカデミックにおいても若手を中心にインフレターゲッティングを主張する声も根強い。しかしながら金融市場発のゆがみは、必ずしも金融的に解決されるとは限らない。証券市場や消費市場を支えるための過剰な緩和政策は、公的部門への資金流入を殺ぎ、カントリーリスク(国際価値暴落、金利上昇)の呼び水になってしまう懸念がある。よって、金融政策については過剰化を避け、実効性の確認できるものを採用すべきであり、また、非金融的な経済政策をもって実体経済の生産性の向上に寄与していくことが重要である。以上の認識から現在の金融・産業情勢を踏まえ、米国発の信用収縮に始まる低迷した消費・投資マインドを刺激し得る産業構造への転換をいかにして政府として促進できるかを本レジメの議論の主たる目的としたい。」
以上のような「序論」でM谷さんの発表は始まった。
その後の理論展開は最も重要なところではあるが「其の一」で述べたとおり、意図的に省かせていただきます。
産業構造の転換に必要な要素として、M谷さんはイノベーション(商品化に向けたすべての工程での革新)の誘発、金融市場におけるリスクテイクの奨励をあげられました。
そして、外需依存型の産業構造の垂直的な側面、川上から川下までの垂直的で硬直的な構造をいかにして打破していくかということを述べられておられました。
そのために、農林業などの政府介入の高い市場の一部開放、投資減税などを実施し、一産業の垂直状態を水平化(ある程度垂直状態をのこしたまま)することが必要ではないかと提案されていました。
このあと議論に移る予定でありましたが、その後の岡田先生講演会の時間の都合で議論はお預けとなってしまいました。
その後、休憩をはさみ岡田先生による講演会を行いました。
テーマは「格差社会を考える」
「格差社会」は来年度の岡田ゼミのテーマでもあります。
まず、岡田先生は角栄、大平、橋本、小渕と日本政治における論点を確認するところから論をお始めになりました。
そして、格差がなぜNOGOODなのかという問いから岡田先生のbeliefにかかわる論が展開されました。
格差がなぜいけないのか、政治学にとってお金がなくて進学できない人々が層を成したとき、「我々」の問題として認識されます。もちろん、「我々」と「私」の境界は相対的ですし、重なる部分もあります。
何の見識もない、半径10m以上のこと以外のことを判断する材料を何ら持っていない人々が「層」をなしたとき、デモクラシーを支えるsocietyが形成できない。
ゆえに格差はNOGOODなのであります。
ここでデモクラシーを支える四つのbeliefを提出しました。
1、リベラリズム(ルーズベルトの掲げた四つの自由とは区別された伝統的意味の)
2、政治的寛容(利益の上で一致することを認めること)
3、Equality
4、健全なるペシミズム(我々の水準を超える政府は出てこない)
5、インクリメンタリズム
しかし、デモクラシーを支えるsocietysは格差がなければ生まれない。
極度の格差はsocietyすら生み出さないが、格差が完全になくなってしまえば、デモクラシーも成立しない。
デモクラシーはかようなジレンマを内包しているというわけです。
また、「どーせおれたちは報われないよ」「誰もおれの言うことなど聞いてくれないよ」という人々の極度の原子化は他者に対するtrustが危機にひんしている状態であり連帯、societyが失われる状態だとも述べておられました。
このあと、岡田先生との質疑応答に入りましたが、各自が自分の評価、誰と連帯したいのかという「欲望」などを言い合う結果となりました。
なお講演会詳細も「其の一」に従い、手渡しといたします。
その後は飲み会を行いました。その時分には河野さん、阿部さんおふた方にも参加いただき、荒野に花が咲いた思いがいたしました。
以上が二日目の内容であります。
三日目のレビューは福田くんに依頼しております。
今回、春合宿ということで外部の諸先輩や本学の教授を招いて講演会を行いなど、かなり合宿らしい合宿になったと思います。
お忙しい中合宿に参加いただいたM谷さん、H谷さん、S田さん並びに岡田先生には重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
まだまだ至らない点が多々あるとは思いますが、機会がありましたら今後ともよろしくお願いいたします。
個人的な反省として、段取りをしっかり次回より行おうと思います。それと参加者をもう少し増やせたらな~と思いました。
平成21年3月25日 乙